エージレス®とは

皆さんの身近で食品のおいしさを守っている脱酸素剤。脱酸素剤って、どんなものなのでしょう・・・

脱酸素剤ってなに?

海苔や煎餅の袋には乾燥剤の袋が入っていますよね。皆さんもご存じのように、乾燥剤は海苔や煎餅の周りにある湿気=水分を吸収除去して、パリパリとおいしい海苔や煎餅がふにゃふにゃに湿気る(シケる)のを防いでいます。

でも、乾燥していないケーキやピザなどにも乾燥剤のような袋が入っていることに気付いていましたか? よく見ると「脱酸素剤」と書いてあります。脱酸素剤は水分を吸収する乾燥剤とは違い、食品の周りの酸素を吸収除去するのが役割なのです。

ハムに使用されている脱酸素剤「エージレス」
脱酸素剤「エージレス」

空気は主に窒素と酸素から成り立っており、私たち人間や、その他の動物は、空気を吸ってその中の酸素を体に取り入れて生きています。でも酸素は、動物には生きるために絶対に必要なものであっても、人間から見て、食品にとってはあまり良い影響を及ぼしません。
脱酸素剤は食品を酸素に触れないようにして、食品のおいしさを守ってくれているのです。

「エージレス®は、三菱ガス化学(株)が世界に先駆けて開発し、現在でも一番多く使われている脱酸素剤のブランドです。

脱酸素剤の効果

食品が酸素に触れないと、なぜおいしさが守られるのか。その理由をお話ししましょう。

生物学的効果

米、麦、豆などの穀類や、ドライフルーツなどに虫がわくことがあります。どこかで成虫が紛れ込み、卵を産んだか、卵が紛れ込み、幼虫や成虫になったかが原因でしょう。でも虫は動物なので、酸素がなくては生きられません。脱酸素剤を使って酸素のない状態にしておけば、虫は成虫、蛹、幼虫、卵の何れであっても死滅してしまい、増えることはありません。食品ではありませんが、衣類や寝具についたダニやシラミも脱酸素剤を使えば殺虫できます。

おいしかったケーキの残りを冷蔵庫にしまっておいたのに、カビが生えて食べられなくなった。ということはありませんでしたか? カビの胞子は小さくて目には見えませんが、家の中でも外でも空気中を漂っていて、ケーキのような栄養のあるものに付着すると菌糸を伸ばし、ぐんぐんと生育して増えて行きます。集落を作るほどまで大きくなると、白、緑、黒などの色もわかるようになり、見えるようになります。

カビは微生物の一種ですが、生育には酸素が必要です。食品を作る途中や作った後で食品にカビの胞子が付いても、脱酸素剤で食品の周囲や内部の酸素をなくして保存すれば、カビは生育できません。

エージレス®使用(左)、不使用(右)の食パン。右側の食パンにはカビが生えてしまっています。

左がエージレス使用、右が不使用の食パン

微生物の仲間には酵母や細菌もいて、カビ同様、食品に付着すると生育、繁殖し、食品を腐らせます。これら酵母や細菌も酸素のない状態では生育ができない、または生育しにくい種類があります。脱酸素剤はこれら微生物の生育を止めたり遅らせたりして、食品が悪くなるのを防止します。

但し酵母や細菌には酸素がなくても生育する種類もいるので、「脱酸素剤を使えば腐らない」わけではありません。

化学的効果

さまざまな物質が、酸素に触れることで化学構造が変わってしまう「酸化」という現象を起こします。クルミや落花生、揚げ菓子などに含まれる油脂分は酸化すると変敗し、独特の匂いがします。油脂は酸化により人体に有害な過酸化物となります。また、植物に含まれる葉緑素や、にんじんに含まれるカロチノイドなどの色素も酸化するとくすんだり、色が消えてしまったりします。またレモン等に含まれるビタミンCも酸化されると褐色になり、ビタミンとしての働きを失ってしまいます。

脱酸素剤はこのような栄養成分や天然色素の酸化を防ぎ、おいしさを守ります。

「エージレス®」の安全性

脱酸素剤の働きは、包装内の酸素を吸収除去するだけであり、化学成分等を食品に添加するものではありませんから、食品に悪影響はありません。「エージレス®」の小袋が食品に接触している場合もありますが、小袋の材質は厚労省が「食品に接触しても良い」と認めた基準に沿って作られており、実際に抽出試験も行って安全性を確認済みです。また小袋の内容物も、万が一食べてしまっても健康に影響のない成分から作られています。但し食べ物ではないので、小袋には「たべられません」の注意を表示しています。

「エージレス®」の廃棄方法

食品の包装を開封したら、中に入っている脱酸素剤はもう再使用できません。長い間空気(酸素)中に置いておくと、内容物が酸素を限界まで吸収して小袋の表面に汚れのようなシミが見えることがあります。いつまでも包装内に入れておかずに廃棄して下さい。脱酸素剤の小袋の材質はプラスチックと紙なので、地域の「プラスチックごみ」の分別分類に従って下さい。